根管治療
根管治療とは、むし歯が進行し、歯髄に達した場合や、根尖病巣といって歯の根の先端部分にまで感染が及んだ時などに行われる歯科治療です。根管治療では、歯の内部から、感染した歯髄(神経や血管のある部分)を取り除き、空洞となった歯の内部(根管)を洗浄していきます。

この根管治療を再発をできる限り抑制できるように精密に行うためには、非常に高度な経験と技術が必要になります。
根管は非常に微細で曲がりくねっており、枝分かれもあったりと、その形状は人それぞれです。そのような中から、歯髄や感染部分を全て取り除かなければならない治療です。しかし、根管治療を行うことで、本来抜歯となっていた歯髄まで感染した歯を残せる可能性が出てくるのです。
根管治療の成功率
日本の成功率は20~40%程度

日本の根管治療の成功率は、保険治療での成功率を見ると20%〜40%程度と言われています。つまり半数以上の方が再発し、再治療を余儀なくされている現実があります。
一度神経を抜いて枯れ木のように脆くなってしまった歯が長期にわたって残っているという確率は低くなることは容易に想像がつきます。
米国の根管治療成功率

日本の保険診療による根管治療での再発率は60%〜80%以上となります。
これに対して米国では根管治療では9割程度、再根管治療でも7~8割程度の成功率となっており、日本の成功率とは大きな差があります。
日本と米国の根管治療比較
日本と米国で根管治療の成功率に大きな差の開きがあるのには、明確な理由があります。「ラバーダム」の使用や、「ニッケルチタンファイル」の使用、「マイクロスコープ」の使用、「治療時間」、「歯科材料」など、全てにおいて違いがあります。日本の保健診療では、治療方法や材料、治療にかけられる時間などに制限や限りがあるため、致し方ない部分もありますが、当院では自由診療によって、米国レベルの根管治療を提供可能です。
日本の根管治療 (保険診療) |
米国の根管治療 (自由診療) |
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ラバーダム | 基本的に無し | 必ず使用 |
ファイル | ステンレス製 | ニッケルチタン製 |
マイクロスコープ | 基本的に無し | 使用が義務付けられている |
治療時間 | 15分/1回 × 4~8回程度 | 60~90分 × 1~3回 |
歯科材料 | ゴム | MTAセメント |
当院の精密根管治療
当院では自由診療によって、米国レベルでの根管治療を提供し、できるだけ再発を抑制するために、様々な取り組みを行っています。
マイクロスコープ(拡大視野下での治療)
歯の内部の根管は、非常に細かく、まるで木の根のように複雑な形態になっていたりするため、全ての感染部分や歯髄を取り除くことは熟練の歯科医師でも非常に困難な治療となります。根管治療を肉眼で行おうとしても、見えない微細な部分はどうしても「経験」や「勘」に頼りきるしかなくなってしまいます。しかし「マイクロスコープ(実体顕微鏡)」を使用することで、24倍など大きく拡大して、しっかりと「見ながら」治療することが可能になります。このことが、取り残しを極限まで防ぎ、再治療のリスクを抑制することにつながります。実際、米国の根管治療専門医はマイクロスコープの使用が義務付けられています。


ラバーダム防湿(口腔内との隔離)
根管治療失敗の原因として、治療中に既に唾液を通して根管に細菌が入り込むことがあります。どんなに頑張って根管内をきれいにしようとしても、治療している最中に唾液が入ってきては、治療中も新たに感染し続けていることになってしまいます。そのうえで封鎖しても意味がありません。再発してしまうリスクが高くなります。つまり、根管治療では、口腔内と治療する歯を完全に隔離して、無菌状態にできるかが成功のカギとなっています。当院では、「ラバーダム防湿」を行っています。ゴム製のシートで、治療部位への唾液などの侵入を防ぎ、完全に隔離します。ラバーダム防湿では、無菌状態での治療だけだなく、薬剤がお口の中に侵入することも防ぎ、殺菌力の強い薬剤を使用することができます。保険診療ではラバーダムを使用しないことから再感染することが再発の要因となっている可能性が考えられます。

ニッケルチタンファイル

根管治療では、歯髄や感染部分の除去に「ファイル」と呼ばれる専用の器具を使用します。多くの歯科医院では「ステンレスファイル」を使用していますが、柔軟性に欠けるため、根管の中で折れたり、根管を突き破ってしまったりすることも少なくありません。
当院の精密根管治療では、柔軟性が良く、根管の曲がりくねりに沿って曲がる「ニッケルチタンファイル」を使用しています。
MTAセメント

MTAセメントは根管をきれいにした後で、再発予防のための密封材として使用します。従来の保険の根管治療ではこの密封剤としてゴムが充填されています。
しかし、根管内の微細な穴や、根の尖端の破壊などがある場合には適していません。その点、MTAセメントは封鎖性・生体親和性に優れた充填材です。
歯科用CT

当院ではレントゲン撮影では診断が難しい、複雑な形態の根管の状態を把握するために歯科用CTを使用します。
見えない部分を立体的に把握することができる歯科用CTでの検査は極めて有用です。