接着治療について

再治療にならないために妥協を許さずこだわった治療を提供

接着治療において最も重要なのは、治療直後の一時的な審美性や機能性だけでなく、長期的な安定性を確保することです。不適切な接着処理は、修復物の脱離や辺縁漏洩、二次齲蝕を引き起こし、結果として再治療が必要になるリスクを高めます。そのため、当院では、歯質の前処理から修復物の装着に至るまで、すべての工程において妥協を許さず、精密な治療を提供することを徹底しています。具体的には、エナメル質と象牙質の表面処理を徹底し、エッチング処理の時間管理や、プライマー・ボンディング材の塗布方法、光重合の照射時間・照射角度に至るまで、科学的根拠に基づいたプロトコルを厳守します。特に象牙質接着においては、湿潤環境の適切な管理が重要であり、ボンディングシステムの選択を適切に行うことで、接着界面の耐久性を最大限に向上させます。また、修復物の適合性が接着治療の成功を左右するため、当院では、修復物の精度にもこだわり、マイクロミクロン単位での適合調整を行っています。適合精度が低い修復物では、接着材の層が厚くなり、長期的な劣化が進みやすくなります。したがって、修復物の適合性を最大限に高め、最小限の接着層で確実に固定することが不可欠です。

さらに、当院では治療時の環境管理にも細心の注意を払い、唾液や血液による接着阻害を防ぐために、適宜ラバーダムを使用し、接着操作の際には徹底した湿度・清潔管理を行っています。このような細部に至るまでこだわった治療を提供することで、修復物の耐久性を高め、再治療のリスクを最小限に抑えることができます。治療の質は、見える部分だけではなく、見えない部分へのこだわりによって決まります。当院では、短期間での仕上がりではなく、長期的に良好な状態を維持できる治療を目指し、患者様の歯の健康を守るために最善を尽くしています。

西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』では、「接着治療」に対応しています。

接着治療とは?

接着治療とは、歯科修復において修復物と歯質を化学的・機械的に強固に結合させる治療技術のことを指します。従来の修復方法では、詰め物や被せ物を歯に単に嵌め込むだけであり、適合の不備や経年的なセメントの劣化による辺縁漏洩が問題となっていました。しかし接着技術の進化によりエナメル質や象牙質との高い接着強度を確保し、より耐久性の高い修復が可能となりました。接着治療において重要なのは、修復物自体の精度はもちろん、歯質と修復材料の接着界面の処理をいかに適切に行うかです。エッチング処理による表面粗造化、プライマーやボンディング材の適切な塗布、光重合や化学重合の確実な操作が不可欠であり、これらの工程が適切に管理されることで、接着強度を長期間維持することができます。また、接着治療は単に修復物を歯に固定するための技術ではなく、歯の削除量を最小限に抑え、健全な歯質を可能な限り温存するというミニマルインターベンション(MI:Minimal Intervention)の概念にも適合する治療法です。従来の支台形成では、修復物の維持を目的として健康な歯質まで大きく削る必要がありましたが、接着技術の進歩により、削除量を抑えながらもより確実に修復物を歯に固定することが可能となりました。
当院では、接着治療において単に修復物を取り付けるだけでなく、接着界面の精密な管理にこだわり、長期的な安定性を追求しています。見た目の美しさだけでなく、耐久性や歯の寿命を考慮した治療を提供することで、患者様の口腔内の健康維持に貢献します。

接着治療の特徴

  1. 高い審美性
    接着治療では、セラミックやコンポジットレジンなどの材料を使用し、自然な歯の色や質感に近い修復が可能です。このため、見た目にも非常に美しい仕上がりが得られます。特に前歯の修復においては、接着治療によって自然な見た目を保つことができます。
  2. 歯質の保護と保存
    従来の治療法に比べて、接着治療は健康な歯質を削る量を最小限に抑えることができます。これにより、歯の構造をできるだけ多く残しながら修復することが可能です。歯質の保存は、将来的な歯の健康を守るためにも非常に重要です。
  3. 強力な接着力
    接着治療は、歯と修復材料の間に強力な接着を形成します。これにより、修復物がしっかりと歯に固定され、咀嚼や日常生活での負荷にも耐えることができます。接着力が高いため、治療後の安定性が増し、修復物が長持ちします。
  4. 多様な適応症例
    接着治療は、虫歯の治療、歯の欠けや破損の修復、歯の形態修正、隙間の改善など、さまざまな歯科治療に応用することができます。また、歯のホワイトニングや、ラミネートベニアを用いた審美的な改善にも使用されます。

接着治療のメリット

接着治療は、従来の歯科修復法と比較してさまざまな利点を持つ治療法です。歯と修復物を化学的・機械的に強固に結びつけることで、適合性を高め、長期的な耐久性を確保します。当院では、接着治療の特性を最大限に活かし、患者様の歯をより長持ちさせるための治療を提供しています。

1. 修復物の高い維持力と脱離の防止

従来のセメント合着に比べ、接着治療では歯質と修復物が一体化するため、修復物の脱離リスクが大幅に低減します。特に、エナメル質に対するエッチング処理とボンディング材の適切な使用により、高い接着強度が得られます。象牙質接着においても、デンティンボンディングシステムを適切に選択することで、長期間にわたり修復物を安定させることが可能です。

2. 歯の削除量を最小限に抑えられる

接着技術の発展により、従来の維持形態に依存した支台形成を必要とせず、最小限の歯質削除(MI:Minimal Intervention)で修復が可能になりました。これにより、健全な歯質の保存が可能となり、歯の寿命を延ばすことにつながります。特に、小さな虫歯の修復や、審美修復(ダイレクトボンディング、ラミネートベニア)において大きなメリットを発揮します。

3. 辺縁漏洩を抑え、二次齲蝕のリスクを低減

不適切な修復では、修復物と歯の間に微細な隙間(マイクロギャップ)が生じ、そこから細菌が侵入することで二次齲蝕が発生しやすくなります。しかし、適切な接着操作により、修復物と歯質の間の封鎖性を高め、細菌の侵入を防ぐことができます。特に、マイクロリーケージの抑制によって、修復物の長期的な安定性が向上します。

4. 修復物の審美性を向上

接着治療を用いることで、セラミックやコンポジットレジンなどの審美修復材料を高精度に歯質と結合させることが可能です。これにより、天然歯に近い透明感や色調を維持しながら、審美性の高い仕上がりを実現します。また、メタルフリー治療(セラミッククラウン、ダイレクトボンディング等)との相性が良く、金属アレルギーのリスクを回避しながら、より自然な見た目を追求できます。

5. 力の分散による歯への負担軽減

接着治療によって修復物と歯質が一体化することで、噛み合わせ時の応力が均等に分散され、歯への負担を軽減できます。従来の合着では、修復物と歯が完全に一体化しないため、咬合時のストレスが特定の部位に集中し、破折リスクが高まることがありました。しかし、接着治療では、歯全体に負荷を分散することで、歯の破折や修復物の破損を防ぐことができます。

6. 長期的な安定性と歯の寿命延長

接着治療の精度が高いほど、修復物の耐久性が向上し、再治療のリスクを低減できます。当院では、歯質処理や接着操作を科学的根拠に基づいて厳密に行い、長期的に良好な状態を維持できる修復を提供しています。その結果、無駄な再治療を防ぎ、患者様の歯の寿命を最大限に延ばすことが可能となります。

接着治療のプロセス

接着治療のプロセスは、まず歯の表面を適切に処理し、接着を妨げる要因を取り除くことから始まります。次に、専用の接着剤やボンディング材を歯の表面に塗布し、修復材料をしっかりと接着させます。最後に、特殊な光を照射して接着剤を硬化させ、修復物を固定します。この一連の工程により、確実な接着が得られます。

特徴

化学的結合

一般的な保険治療の銀歯などでは、セメントで詰め物や被せ物と歯質の隙間を埋め、合着しているだけですが、接着治療では、歯のエナメル質や象牙質と修復材料を化学的に結合させます。これにより、修復物がしっかりと歯に固定されます。また、一般的なセメントでは、経年でセメントが流れ出し、詰め物や被せ物と歯質の間に空間ができ、そこに菌が入り込み、詰め物や被せ物の下でむし歯が進行する(二次虫歯)といったことが起きることもありますが、接着治療ではその予防も期待できます

保存的治療

接着治療は、歯を削る量が少なくて済むため、健康な歯質を最大限に保存できます。これにより、歯の強度や寿命をより長く保つことが期待できます

当院の接着治療 ~ 歯質と詰め物をしっかり「接着」

一般的に、虫歯治療では、虫歯の部分を取り除いて、できた穴の部分に詰め物を充填して修復しています。この虫歯を削った時にできる穴は、エナメル質と象牙質でできているため、詰め物を接着させようとしてもすぐに取れてしまう状態でした。西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』では、虫歯を削っていきなり詰め物をするのではなく、いくつもの行程を経て、しっかり詰め物を接着する「接着治療」に対応しています。

接着治療の行程

西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』では、エッチング、プライミング、ボンディングがそれぞれ別の溶液になっている「3液性」のシステムを採用しています。

歯を削った後の状態

歯を削った後は「スメア層=歯を削る時の歯質の切削くずなどによる層」ができています。当然、このままでは人工の歯の接着はうまくいきません。

① エッチング(セレクティブエッチング)

当院では、まずエナメル質のみをリン酸でエッチング(酸処理)し、水洗・乾燥後にエナメル質と象牙質両方に対して接着材を塗布する必要があります。 このようなエナメル質への選択的なリン酸エッチング「セレクティブエッチング」を行っています。

② プライミング

次に「プライミング」を行います。エッチングによって、エナメル質や象牙質を侵食し、歯質表面をリアス式海岸のようにギザギザにした次に、プライミングで、このギザギザのくぼみにプライマー(レジンモノマー)を流し込んで、ギザギザ面に馴染ませます。

③ ボンディング

そして「ボンディング」を行います。ボンディングでは、プライマー(レジンモノマー)で濡れたギザギザの表面に、さらにプライマーとは別の種類のボンディング(レジンモノマー)を流し込んで、その後、特殊な光を照射し、プライマーとボンディングの両方を重合させ、しっかり接着します。


Doctor’s Voice

西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』院長の三宅崇博です。

接着治療において最も重要なのは、修復物の表面処理や接着操作だけでなく、削合した象牙質・エナメル質の処理を含む「見えない部分」に対する精密な処置であると考えています。当院では、接着界面の耐久性を最大限に高めるために、エッチングなどの処理など、一連の工程を科学的根拠に基づいて厳密に行います。臨床において、接着操作が不十分であれば、修復物の脱離や辺縁漏洩、二次齲蝕のリスクが高まり、最終的には再治療を余儀なくされます。しかし、接着界面の管理を徹底し、適切なボンディングプロトコルを遵守することで、修復物の長期安定性が向上し、結果として歯の寿命を延ばすことが可能になります。特に象牙細管内への接着材料の浸透を最適化することで、マイクロリーケージを最小限に抑え、歯質と修復材料の一体化を促進することができます。

また、接着治療では単にレジンセメントなどの物性に頼るのではなく、修復物と歯質の適合精度、接着界面の清潔さ、乾燥度の管理など、多くの要素が治療結果を左右します。これらを一切妥協せず、時間と手間を惜しまずに治療を行うことが、再治療の抑制につながります。当院では、接着治療を単なる「材料の選択」にとどめるのではなく、「接着環境の徹底的な管理」として捉え、細部に至るまで精密なアプローチを実践しています。見える部分の美しさはもちろんですが、見えない部分にどれだけこだわれるかが、治療の予後を決定づけます。当院では、短期的な成功にとどまらず、長期的な歯の保存を見据えた治療を提供し、患者様の歯の寿命を最大限に延ばすことを目標としています。