インプラント治療とは

歯の根の部分から噛む機能を取り戻して、ご自身の歯の様に噛むことができるようになる治療です。

「インプラント治療」とは、歯を失った部分に、チタン製やジルコニア製の人工歯根(人口の歯の根の部分にあたるもの)を埋入し、その上に土台となる部品を装着し、さらにその上にセラミック製やジルコニア製の人工の歯を被せる治療法です。入れ歯のように他の健康な歯にバネをかけて使用したり、ブリッジのように歯を失った部分の両隣りの健康な歯を大きく削って土台にしたりすることがなく、直接顎の骨にインプラントを埋入するため、より天然の歯に近い感覚で噛むことができるようになる治療方法です。もちろんあくまで人工物ですからメンテナンスも大切になりますし、万能の治療というわけではないですが、噛み心地も審美性も高く、人気のある治療法で、世界中で行われています。

インプラントの構造

大きく3つの部品から人工の歯を構成します。

インプラント治療では「インプラント体=あごの骨に埋入する部分」「アバットメント=人工の歯を装着するための土台」「スクリュー=アバットメントをフィクスチャーに固定するネジ」「人工の歯」からなります。

初めにインプラント体をあごの骨に埋入する手術を行い、インプラント体が十分に骨と結合してから、アバットメントをフィクスチャーに装着して固定して、その上に人工の歯をかぶせます。

インプラントの歴史

インプラント治療は現代では高度な歯科医療技術として確立されていますが、その歴史は非常に古く紀元前数千年前まで遡ることができます。

古代のインプラントの試み

最も古いインプラントの記録は、紀元前2000年頃の古代エジプトやマヤ文明にまで遡ります。この時代には、貝殻や動物の骨、象牙などを歯の欠損部に埋め込む試みが行われていました。また、古代ローマ時代には、鉄や金属製の人工歯が用いられた記録もあり、当時の人々が審美性や機能性を重視していたことがうかがえます。また、6世紀頃のマヤ文明では、人間の歯槽骨に貝殻を埋め込み、それが骨と一体化していたことが考古学的調査によって確認されています。

近代インプラントの誕生

現代のインプラント技術の基礎となったのは、1950年代にスウェーデンの整形外科医ブローネマルクによって発見された「オッセオインテグレーション」の概念です。彼は、チタンが骨と結合する性質を持つことを偶然発見し、これを歯科治療に応用できるのではないかと考えました。1965年には、ブローネマルクが世界初のチタン製インプラントを人間に埋入し、長期的な成功を収めました。この成功がきっかけとなり、チタンインプラントが歯科治療の標準的な治療法として確立される道が開かれました。

現代のインプラントの発展

1980年代から1990年代にかけて、インプラント技術は急速に進化しました。チタンの表面処理技術が向上し、骨との結合をより強固にするための表面加工技術(HAコーティング、酸処理、サンドブラストなど)が開発されました。また、デジタル技術の進歩により、CTスキャンやCAD/CAM技術を活用した精密な診断とインプラント設計が可能となりました。2000年代以降、即時荷重インプラント(抜歯後すぐにインプラントを埋入し、仮歯を装着する技術)や、ガイドサージェリー(デジタル技術を活用した正確な埋入計画)が登場し、より短期間で、安全性の高いインプラント治療が可能となっています。

インプラントの前に ~ 当院の考え方

歯を失った原因を明確にし、長期的にインプラントを機能させるための治療を第一に考えます。

当院では、インプラント治療を単なる「失った歯の補填」とは考えておりません。インプラントを長期的に機能させるためには、まず「なぜ歯を失うことになったのか」という根本的な原因を追求し、その問題を解決することが不可欠です。インプラントを埋入前に、口腔内だけに着目するのではなく、顎関節、噛み合わせ、歯周病の有無、生活習慣といった全身の状態まで総合的に評価することが重要です。これらの要因が適切に管理されていなければ、インプラントに過剰な負荷がかかり、長期的な機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

当院では、精密検査を徹底し、インプラント治療前に必要な調整や治療を行います。具体的には、デジタルX線撮影、CT撮影、口腔内写真、咬合分析、さらに必要に応じて、筋電図評価、姿勢解析などを活用し、歯列全体だけでなく、顎関節や頸部の動き、全身のバランスに至るまで詳細に診査・診断します。さらに、咬合圧センサーを用いた咬合力の分布解析や、唾液検査による細菌叢の評価なども行い、患者様ごとに適した治療計画を立案します。

また、インプラント治療の成功には、口腔内環境の適正化が不可欠です。歯周病が進行している状態でインプラントを埋入すると、インプラント周囲炎を引き起こし、長期的な安定性が損なわれる可能性があります。そのため、歯周組織の健康を確保するための歯周基本治療、咬合の安定化のための咬合調整、必要に応じた筋機能療法(MFT)などを行い、インプラントを支える組織を強固な状態に整えてから治療を進めます。

「10年、20年先まで安心してインプラントをお使い頂けるように」 ~ 当院はそのことを大切に、単なる外科処置としてのインプラント治療ではなく、患者様の全身の健康を考慮した包括的な診療を提供しております。インプラント治療をご検討の方は、まずは一度ご相談ください。

精密な診査・診断が重要です

インプラント治療は、歯を失った部位の顎骨にインプラント体を埋入する外科的処置であり、その成功は術前の診査・診断の精度に大きく依存します。単に欠損部にインプラントを埋めるのではなく、顎骨の質や量、周囲の解剖学的構造を正確に把握し、適切な位置・角度・深さに埋入することが不可欠です。

まず、インプラントを埋入する顎骨の状態を詳細に評価することが重要です。骨の密度(骨質)や骨量(骨の高さ・厚み)は患者ごとに異なり、骨が不足している場合には、骨造成(GBR:骨誘導再生法、サイナスリフト、ソケットリフト)などの前処置が必要となることがあります。また、顎骨が軟らかい場合には、インプラントの初期固定が得られにくく、長期的な安定性に影響を及ぼすため、適切なインプラントデザインの選択や補助的な処置が求められます。

さらに、インプラント埋入部位には神経・血管・副鼻腔などの重要な解剖学的構造が存在します。下顎では、下歯槽神経が走行しており、誤って神経を損傷すると知覚異常や麻痺が生じる可能性があります。上顎では、上顎洞との距離を正確に把握し、穿孔を防ぐことが必要です。これらのリスクを回避するためには、歯科用CT(CBCT:コーンビームCT)を用いた三次元画像診断が不可欠です。従来の二次元レントゲンでは確認が困難だった骨の立体的構造や神経・血管の位置を高精度に把握できるため、より安全で確実な治療計画を立案することができます。

また、噛み合わせ(咬合)も考慮する必要があります。咬合圧が不適切にかかると、インプラント周囲の骨に過剰な負荷がかかり、骨吸収やインプラント体の脱落につながることがあります。そのため、咬合分析やシミュレーションを行い、適切なインプラントポジションを決定することが極めて重要です。当院では、これらの詳細な診査・診断を徹底し、患者様ごとに最適な治療計画を策定しております。インプラント治療の成功率を高め、長期的な機能を確保するために、まずは精密な検査を受けることをおすすめしております。

ストローマンインプラントを採用しています

世界トップシェアの信頼あるインプラント

西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』では、「ストローマンインプラント」を採用しています。ストローマンインプラントは世界トップシェアの信頼あるインプラントメーカーです。 当院では「Straumann® BLXインプラントシステム」に対応しており、高い初期固定の獲得と、即時埋入を目的としたボーンレベルインプラントであるため、インプラント手術当日に仮歯総装着まで行えるので、審美性を保ったまま、見た目を気にすることなくご帰宅できます。 また、「Straumann® BLXインプラント」は、SLActive® という表面処理を施したRoxolid® を材料に使用しており、骨との結合性が非常に高いタイプのインプラントです。

当院はストローマンパートナーズ認定医院です

当院はインプラント治療において世界シェアNo.1であるストローマン社の「ストローマンパートナーズ」認定医院です。

当院ではあごの骨が足りない場合にも対応可能な場合があります

ンプラント治療を成功させるためには、十分な顎の骨の高さと厚みが必要です。しかし、歯を失ってから長期間が経過している場合や、重度の歯周病を患っていた場合、顎骨が吸収されてしまい、インプラントの埋入に必要な骨量が不足しているケースがあります。特に、上顎では上顎洞の拡大、下顎では下歯槽神経の近接といった解剖学的制約が存在し、慎重な診断と適切な補助処置が求められます。

当院では、骨造成(増骨術)を併用することで、骨が不足している場合でもインプラント治療を可能にします。患者様の骨の状態を歯科用CT(コーンビームCT)で詳細に診査し、適切な骨造成の手法を選択することで、安全かつ確実な治療計画を立案いたします。

GBR(骨誘導再生法)

GBR(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)は、インプラント埋入に十分な骨量が確保できない場合に、骨の再生を促進するために行う骨造成術の一つです。歯槽骨の吸収が進行している場合、そのままではインプラントを安定して埋入することが困難なため、骨補填材と特殊なメンブレン(遮断膜)を用いることで、新しい骨の形成を促します。骨欠損部位には、通常、歯肉の結合組織が先に侵入してしまい、骨の再生が阻害されることがあります。そこで、メンブレン(遮断膜)を設置することで、歯肉の侵入を防ぎ、骨が再生するスペースを確保します。その内部に骨補填材を填入することで、骨芽細胞の活動を促し、骨組織の再生を誘導します。

GBRは以下のようなケースで適応されます

・インプラント埋入予定部位に十分な骨量がない場合
・歯周病による骨吸収が進行し、骨の高さが不足している場合
・抜歯後、時間が経過し、顎骨が痩せている場合
・インプラントの周囲に骨欠損がある場合

GBRの成功率は比較的高いですがいくつかの要因によって結果が左右されます

・創部の感染管理:細菌感染が起こると、骨の再生が阻害されるため、徹底した無菌環境下での手術が必要です。
・適切な骨補填材の選択:自家骨、異種骨、人工骨の特性を考慮し、適切な材料を使用します。
・術後の安定性:メンブレンの固定が不十分だと、再生スペースが確保されず、骨の形成が阻害されるため、適切な固定が重要です。

まとめ

GBRは、骨の不足が原因でインプラント治療が難しいケースにおいて、新たな骨の形成を促し、安全にインプラントを埋入するための重要な技術です。当院では、CT撮影を用いた精密診断を行い、患者様に最適な骨造成法を選択し、長期的に安定したインプラント治療を提供しています。骨の不足でインプラントを諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。

ソケットリフト(Socket Lift)

ソケットリフト(Socket Lift)は、上顎の骨の高さが不足している場合に行う低侵襲な骨造成術(上顎洞挙上術)の一つです。特に、上顎洞(サイナス)までの骨の高さが5mm以上残存しているケースに適応され、上顎洞底部を持ち上げて骨補填材を填入することで、インプラント埋入に十分な骨量を確保します。
上顎の奥歯(臼歯部)は、他の部位と比較して骨の吸収が早く進行しやすい特徴があります。特に、抜歯後に時間が経過すると、上顎洞が拡大し、骨の高さが不足することが多くなります。そのため、骨量が足りないままインプラントを埋入すると、インプラントが上顎洞内に突出するリスクがあるため、骨造成が必要になります。ソケットリフトは、そのような骨不足のケースでもインプラント治療を可能にする手法です。

ソケットリフトは以下のようなケースで適応されます

・上顎臼歯部の骨の高さが5mm以上10mm未満の場合
・インプラントの固定に十分な骨の厚みが不足している場合
・上顎洞の形状がソケットリフトに適している場合
・サイナスリフト(側方アプローチ)が適さない場合

ソケットリフトのメリット

  • 低侵襲で患者の負担が少ない … 外側からのアプローチを必要とするサイナスリフトに比べ、ソケットリフトはインプラント埋入予定の穴から行うため、手術の侵襲が小さいです。そのため、腫れや痛みが少なく、回復が早いというメリットがあります。
  • インプラントと同時埋入が可能 … 骨の状態が良好であれば、インプラント埋入とソケットリフトを同時に行うことができるため、治療期間の短縮が可能です。
  • 成功率が高い … 適応症例を正しく選択すれば、長期的な成功率が高い手法であり、安全性も確立されています。

まとめ

ソケットリフトは、骨の高さが不足している上顎臼歯部のインプラント治療を可能にする低侵襲な骨造成術です。サイナスリフトと比較して手術の負担が軽く、回復が早い点が特徴ですが、適応症例の見極めや慎重な手技が必要です。当院では、歯科用CTを用いた詳細な診査を行い、最適な治療法を提案しております。骨の不足が理由でインプラントを諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。

サイナスリフト(Sinus Lift)

サイナスリフト(Sinus Lift)は、上顎の骨の高さが不足している場合に行う骨造成術(上顎洞挙上術)の一つです。特に、上顎洞と歯槽骨の距離が短く、インプラントの埋入が困難なケースに適応される手法です。骨を再生させることで、インプラントが十分に固定されるための骨量を確保し、安全かつ長期的な治療結果を得ることができます。
上顎の奥歯(臼歯部)は、抜歯後に骨の吸収が早く進行しやすい部位であり、時間が経つにつれて骨の高さが失われます。また、加齢に伴って上顎洞(サイナス)が拡大することもあり、インプラントを適切に埋入するための十分な骨量を確保できないケースが多く見られます。このような場合に、サイナスリフトを行うことで、上顎洞底部の骨の厚みを増やし、インプラントの埋入を可能にします。

サイナスリフトは以下のようなケースで適応されます

・上顎臼歯部の骨の高さが4mm以下の場合
・インプラントを支える骨が不足しているケース
・従来の方法ではインプラントが埋入できない場合

サイナスリフトのメリット

  • インプラント治療が可能になる … 骨が不足している症例でも、サイナスリフトを行うことでインプラントの埋入が可能になります。
  • 長期的な安定性が期待できる … 適切に骨造成を行うことで、インプラントを長期的に機能させることが可能になります。

まとめ

サイナスリフトは、骨の高さが極端に少ない上顎臼歯部において、インプラント治療を可能にするための重要な骨造成術です。当院では、歯科用CTによる精密診断を行い、安全かつ確実な治療を提供しております。骨の不足が理由でインプラントを諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。

自家骨移植(Autogenous Bone Grafting)

自家骨移植(Autogenous Bone Grafting)は、インプラント治療に必要な骨量が不足している場合に、患者自身の骨を採取し、移植することで骨の再生を促す骨造成法です。インプラントの成功には十分な骨量と質が不可欠ですが、長期間の歯の欠損や重度の歯周病によって顎骨が吸収されてしまい、そのままではインプラントが安定しないケースがあります。このような場合に、自家骨移植を行うことで骨の高さや厚みを増やし、インプラントの埋入を可能にします。
自家骨移植は、人工骨や同種骨(他人の骨)を使用する骨造成法と比較して、生体親和性が非常に高く、骨形成能に優れているという利点があります。移植された自家骨には骨芽細胞や成長因子が含まれており、骨の生着が早く、質の高い骨が再生されるため、インプラント治療の長期的な安定性に大きく貢献します。

自家骨移植は以下のようなケースで適応されます

・顎骨の吸収が進み、インプラントを埋入できないケース
・インプラント埋入予定部位の骨質が軟らかく、強度が不足している場合
・大規模な骨欠損がある症例

自家骨移植のメリット

・生体親和性が高い
・骨の生着率が高く、骨の再生が促進される
・長期的なインプラントの安定性が向上
・広範囲な骨欠損にも対応可能
・感染リスクが低い
・顎の骨だけでなく、他の部位からの採取も可能

まとめ

自家骨移植は、インプラントの長期的な成功率を向上させるために非常に有効な骨造成術です。当院では、CTによる精密診断を行い、患者様の状態に最適な骨移植方法を選択します。顎の骨が足りないと診断された方も、ぜひ一度ご相談ください。

インプラントと他の治療法との比較

歯を失った場合の治療法には、インプラント、ブリッジ、入れ歯(義歯)などがあります。それぞれに特徴があり、患者様の口腔内の状態やライフスタイルに応じて適切な方法を選択することが重要です。インプラントは、歯を失った部分にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯冠を装着する治療法であり、審美性や機能性に優れています。一方、ブリッジは欠損した歯の両隣の健康な歯を削り、連結した人工歯を固定する方法です。入れ歯は取り外し可能な補綴装置を用いて、欠損部分を補う治療法であり、比較的短期間での治療が可能です。

インプラントの最大の利点は、独立して機能できることです。ブリッジの場合、隣接する健康な歯を削る必要があるため、支台歯への負担が増し、将来的に虫歯や歯周病のリスクが高まります。一方、インプラントは周囲の歯に依存せず、独立して咬合力を支えるため、隣接歯への影響が少なく、口腔内の健康を維持しやすいというメリットがあります。また、インプラントは顎の骨に直接力が伝わるため、骨吸収を防ぎ、顎骨の健康維持に貢献します。これに対し、ブリッジや入れ歯では咬合力の分散が不十分になり、顎骨の萎縮が進みやすい傾向があります。 

治療法 メリット デメリット
インプラント ■自分の歯と同じような感覚でものを噛むことができます。
■周りの健康な歯を削ったり傷つけたりしません。
■見た目は自分の歯とほとんど変わらない審美性を再現可能です。
■顎の骨に噛む力を与え顎の骨が痩せるのを防ぐといわれています。
■インプラントを顎の骨に埋め込む手術が必要です。
■全身疾患がある場合には治療できない場合があります。
■インプラントを維持するには十分なケアと定期メインテナンスが必要です。
ブリッジ ■基本的に外科的な手術が必要ない。
■インプラントに比べ治療期間が短い。
■保険適用内のものもある。
■両隣の健康な歯を削らなければならない。
■土台となる歯を傷めてしまうことがある。
入れ歯 ■基本的に外科的な手術が必要ない。
■インプラントに比べ治療期間が短い。
■保険適用内のものもある。
■入れ歯のバネや床があるので違和感がある。
■力を粘膜の部分で支えるので咬む力が弱い。
■見た目で入れ歯だと分かってしまう。

インプラントにおける歯科医院選びのポイント

インプラントは「外科手術」であるため歯科医院選びは大切です

インプラント治療は、単なる人工歯の装着ではなく、外科手術を伴う高度な歯科治療です。そのため、治療を受ける歯科医院の選択は、インプラントの成功率や長期的な機能性を大きく左右する重要な要素となります。安全で確実なインプラント治療を受けるためには、以下のポイントを考慮して歯科医院を選ぶことが大切です。

1. 精密な診査・診断を徹底しているか

インプラント治療の成功には、事前の診査・診断が不可欠です。特に、歯科用CT(コーンビームCT)を完備し、三次元画像による骨質・骨量・神経・血管の詳細な評価を行っているかが重要です。CT撮影なしでレントゲンのみで診断を行う歯科医院では、埋入位置の正確性が低下し、神経損傷やインプラントの脱落リスクが高まる可能性があります。

2. インプラント治療の実績が豊富か

インプラント治療は、歯科医師の経験と技術が問われる分野です。過去の症例数や実績を公開している歯科医院を選ぶことで、確かな技術を持つ歯科医師のもとで治療を受けられる可能性が高くなります。また、難症例に対応できるかどうかも重要です。骨の少ない症例で骨造成(GBR・サイナスリフト・ソケットリフト)が必要な場合、適切な処置ができる歯科医院を選ぶべきです。

3. 衛生管理が徹底されているか

インプラント手術では、感染リスクを最小限に抑えることが重要です。手術時に無菌状態を維持できるよう、クリーンルームや滅菌システムを完備している歯科医院を選ぶことが望ましいです。使用するインプラント器具の滅菌状況や、ディスポーザブル(使い捨て)器具の導入状況も確認するとよいでしょう。

4. インプラントの種類や治療計画の選択肢が豊富か

インプラントにはさまざまな種類があり、メーカーによって特性が異なります。世界的に信頼性の高いインプラントシステムを導入しているかを確認することが重要です。また、治療計画についても、患者ごとの骨の状態や咬合のバランスを考慮し、最適な方法を提案してくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

5. メンテナンス体制が整っているか

インプラントは、治療が完了すれば終わりではなく、長期的なメンテナンスが必要です。インプラント専門のメンテナンスプログラムを提供しているか、定期検診のシステムがしっかりしているかを確認することが重要です。特に、インプラント周囲炎のリスクを軽減するための歯周病管理を行っている歯科医院を選ぶと、より安心して治療を受けることができます。

6. 十分な説明(インフォームドコンセント)が行われるか

インプラント治療には、手術のリスクや費用、治療期間など、さまざまな要素が関係します。そのため、治療のメリットだけでなく、リスクやデメリットも含めて十分な説明を行い、患者が納得した上で治療を進める歯科医院を選ぶことが大切です。強引にインプラント治療を勧めたり、デメリットを説明しない歯科医院は避けるべきです。

7. 費用が明確か

インプラント治療の費用は、歯科医院によって異なります。しかし、極端に安価な場合は、質の低いインプラントを使用している可能性や、手術後のフォローが不十分な可能性があります。費用が適正であり、事前に見積もりを明示してくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

歯科医院選びは治療の成功率にも影響することが考えられます

インプラント治療は、高度な技術を要するため、歯科医院の選び方が治療の成功率に大きく影響します。精密な診査・診断を行い、経験豊富な歯科医師が在籍し、衛生管理やメンテナンス体制が整った医院を選ぶことが重要です。また、インフォームドコンセントが徹底されており、費用の透明性が確保されているかも確認すべきポイントです。これらの要素を考慮し、信頼できる歯科医院で適切な治療を受けることが、インプラントを長期的に快適に使用するための鍵となります。

当院では静脈内鎮静法に対応しています

インプラント治療は外科手術を伴うため、「手術に対する恐怖や不安を感じる」「痛みに敏感で治療が怖い」といった不安を抱く患者様も少なくありません。そのような方々に安心して治療を受けていただくために、当院では「静脈内鎮静法(IVS:Intravenous Sedation)」に対応しております。これは、点滴によって鎮静剤を投与し、リラックスした状態で治療を受けられる方法であり、歯科治療に対する恐怖心が強い方や、長時間の手術を受ける方に特に適した方法です。

静脈内鎮静法とは?

静脈内鎮静法は、鎮静剤を静脈内に投与し、意識を軽く保ちながらも極度の緊張や不安を和らげる医療技術です。全身麻酔とは異なり、完全に意識がなくなるわけではなく、患者様はうとうとした状態になり、治療中のことをほとんど覚えていないという特徴があります。処置後は、しばらく休息をとることで意識が回復し、比較的早い段階で日常生活に戻ることが可能です。

静脈内鎮静法のメリット

  1. 恐怖心や緊張を軽減
    歯科治療に対する強い恐怖心や不安を持つ方でも、リラックスした状態で治療を受けることができます。
  2. 痛みや不快感の軽減
    局所麻酔と併用することで、手術中の痛みをほとんど感じることなく治療を受けることができます。
  3. 嘔吐反射の抑制
    嘔吐反射が強い方でも、静脈内鎮静法を用いることでリラックスした状態になり、治療がスムーズに進みます。
  4. 長時間の手術でも負担が少ない
    インプラント手術は1時間以上かかることもありますが、鎮静状態では時間の経過をあまり感じることなく治療を受けることができます。
  5. 治療中の記憶が曖昧になる
    治療中の出来事をほとんど覚えていないため、不安が軽減され、次回の治療も安心して受けることができます。

静脈内鎮静法が適している方

  • 歯科治療に強い恐怖心がある方
  • インプラント手術や骨造成などの外科処置を受ける方
  • 嘔吐反射が強く、通常の治療が難しい方
  • 長時間の治療を受ける必要がある方
  • 高血圧やストレスで血圧が変動しやすい方

静脈内鎮静法の流れ

  1. 事前診査とカウンセリング
    患者様の全身状態を確認し、適応の可否を判断します。また、鎮静法の流れや注意点について丁寧に説明します。
  2. 点滴による鎮静剤の投与
    専用の鎮静剤を静脈内に投与し、数分以内にリラックスした状態になります。
  3. インプラント手術の実施
    局所麻酔と併用しながら、安全にインプラント手術を行います。
  4. 術後の覚醒と経過観察
    手術が終了した後、回復室で休息をとり、意識が完全に戻るまで経過を観察します。
  5. 帰宅と術後のケア
    静脈内鎮静法を受けた後は、数時間は車の運転を避け、付き添いの方と一緒に帰宅することが推奨されます

安全性について

静脈内鎮静法は、医科の全身麻酔とは異なり、意識を完全に失うわけではないため、安全性の高い鎮静法とされています。当院では、経験豊富な歯科医師と麻酔管理に精通したスタッフが対応し、患者様の血圧・心拍数・酸素飽和度をモニタリングしながら、慎重に管理を行います。

静脈内鎮静法についてお気軽にご相談下さい

インプラント治療は外科手術を伴うため、不安を感じる患者様も多いですが、静脈内鎮静法を用いることで、リラックスした状態で安全に治療を受けることが可能です。当院では、患者様の負担を最小限に抑え、快適にインプラント治療を受けられる環境を整えております。不安を感じる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

インプラント治療は医療費控除の対象です

インプラント治療は、自費診療となるため、費用が高額になることが多いですが、医療費控除の対象となるため、確定申告を行うことで一部の費用が還付される可能性があります。医療費控除を活用することで、治療費の負担を軽減できるため、ぜひ制度を理解し、適切に申請を行いましょう。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)の間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の軽減を受けることができる制度です。具体的には、年間の医療費が10万円(または総所得金額の5%)を超えた場合、その超過分について所得控除を受けることができます。

例えば、年間で30万円の医療費を支払った場合、控除対象となるのは「30万円 – 10万円 = 20万円」となります。この控除額が所得金額から差し引かれることで、所得税や住民税の軽減につながり、結果的に税金の還付を受けることが可能になります。

インプラント治療のどの費用が控除の対象になる?

インプラント治療に関連する以下の費用は、医療費控除の対象となります。

  • インプラントの手術費用(インプラント体の埋入、骨造成手術など)
  • インプラントの材料費(インプラント体、アバットメント、上部構造など)
  • CT撮影などの診査・診断費用
  • 手術時の麻酔費用(静脈内鎮静法を含む)
  • 手術後の定期検診・メンテナンス費用(一定の範囲内)
  • 治療のために通院した際の交通費(公共交通機関の費用のみ)

ただし、審美目的の治療(ホワイトニングなど)や、歯科医院で購入した歯ブラシやケア用品の費用は控除対象外となります。

医療費控除の申請方法

医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。申請の際には、以下の書類を準備してください。

  1. 医療費の領収書(歯科医院から発行されたものを保管しておくことが重要)
  2. 医療費控除の明細書(国税庁の公式サイトからダウンロード可能)
  3. 確定申告書(税務署または国税庁のウェブサイトから取得可能)
  4. 源泉徴収票(給与所得者の場合)

医療費控除を活用して負担を軽減しましょう

インプラント治療は、長期的に歯の機能を回復し、口腔内の健康を維持するための有効な治療法です。しかし、治療費が高額になるため、経済的な負担を感じる方も少なくありません。医療費控除を活用することで、実質的な費用負担を軽減できるため、治療を検討されている方は、この制度を活用することも良いでしょう。


Doctor’s Voice

西新宿・都庁前の歯医者『ラ・トゥール新宿歯科』院長の三宅崇博です。

インプラント治療は、現代歯科医学において失われた咬合機能を回復するための極めて有効な手段です。しかしながら、その成功には精密な診査・診断と適切な治療計画が不可欠です。当院では、歯科用CTによる三次元画像解析を用いた骨質・骨量の詳細な評価を行い、解剖学的制約を考慮しながらインプラント埋入の適切なポジショニングを決定します。これにより、インプラントの一次固定の確保および長期的な安定性を向上させることが可能となります。

また、インプラント治療の成功はオッセオインテグレーション(骨結合)の獲得に依存しており、適切な外科的手技が求められます。当院では、ピエゾサージェリーを活用した低侵襲な骨切削を行い、周囲軟組織および骨の損傷を最小限に抑えた処置を心がけています。さらに、インプラント周囲炎のリスクを低減するために、手術環境の滅菌管理を徹底し、術後の細菌感染リスクを最小限に抑える努力を怠りません。

近年では、骨造成技術の進歩により、従来では適応が困難とされていた骨欠損症例においてもインプラント治療が可能となっています。当院では、GBR(骨誘導再生療法)、ソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成術を駆使し、十分な骨支持を確保したうえでインプラント治療を行います。また、骨補填材にはβ-TCPやHA(ハイドロキシアパタイト)などの生体適合性に優れた材料を適宜選択し、安全性を考慮した治療を提供しています。さらに、インプラント補綴の精度向上のために、デジタルスキャン技術を導入し、CAD/CAMを用いた精密なアバットメントおよび上部構造の設計を行っております。これにより、患者様ごとの咬合力分布を考慮した適切な補綴設計が可能となり、インプラント体の過負荷による合併症リスクを軽減することができます。

インプラント治療は単に「歯を失った部位に人工歯根を埋入する」治療ではなく、咬合、顎関節、顔貌のバランスを考慮し、全顎的な治療計画のもとで行うことが求められます。インプラントが適応とならない場合でも、残存歯の保存を最優先とした補綴計画を立案し、患者様にとって最善の選択肢を提案いたします。

当院では、機能的かつ審美的に優れたインプラント治療を提供するために、エビデンスに基づいた最新の技術を取り入れ、安全性と予知性を確保した治療を心がけております。歯を失ったことでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 



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